滞留在庫で倒産の危機?中古買取店の苦悩!20年前からの苦しみ!

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店員Kです!

中古買取業界は苦しいなどと言われていますが、
それは今に始まったことではありません。

およそ20年前。
既に始まっていたことなのです。

2000年。
実際にとある中古買取店舗で発された通達を
ご紹介します。
既に、このお店は閉店しており、現在はこの世に存在しません。

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中古買取は滞留在庫化

2000年から、中古買取業務において
“滞留在庫”が問題になっていました。

それが、会社を傾けるほどにまでなってしまい、
当時、この会社では一時的に買取を中止することに
なったのです。
何も考えずに買取販売をしていたツケが回ってきたわけですね。

で、実際に当時、会社本部から送られてきたメール、
というのが下記のようなメールになるのです。

実際に送られたメール

すべての中古の買取・販売が近い内に復活することになりそうです。
“これで安心だ。これでもう大丈夫だ。”と中古で生まれる財源の使い道を
いろいろと考えていることと思います。
しかし、これで全ての問題が解決するわけではありません。
むしろ、事業部が赤字に転落した問題点の改善の為、
やっとスタートラインに立てたと認識すべきです。

それでも中古利益なしで先日来検討している店舗構造改革
(只今一部で実施予定。そのうち皆さんにご報告できると思います)
をしようと考えていた時と比べたら状況は非常に好転しそうです。
なによりお客様のニーズに100%答えられる店にまた戻ることができます。
しかし、ここでみなさんに会社の現状を冷静に見極めて慎重に行動してもらいたいのです。
以下に現状の大きな問題点を上げます。

①滞留在庫の処分問題
②店舗構造改革問題
③会社の損益見込みと現状

中古の利益で新品を値下げする財源が確保されれば、
他店との競争や、先日来検討している売れない最新作や準新作を早期の内に見切り、
将来の滞留在庫を少しでも減らすことができます。
それに生きているうちに処分すればそれだけ利益の損失が少なくてすみ結果的に得をします。

②の店舗構造改革はこれを容易にする施策です。
しかし現状では半年以上滞留した在庫を処分するために、
1000円、2000円と大幅な値下げをし、
しかもすでに滞留在庫なので売れもしません。
ただ、評価が下がりつづけ粗利を食うばかりです。
それに何故か、終わった在庫に関してはびっくりするほど大胆に
躊躇なく値下げをする傾向にあります。

ここでの利益の損失、運営の甘さが後に収益を圧迫し、
事業部が赤字に転落する大きな要因になりました。
これはまさしく中古をやっていた時の収益の余裕感覚がそのまま何年も
在庫処分の仕方・仕入の仕方・販売の仕方に反映し、
改善することなく、結果、新品だけでは収益を悪化させ破綻寸前にまで
陥ったのかもしれません。
他の要因、たとえば業界全体の変化やPS2の販売不振、
強豪店に低落原因を求めてもいいのですが、赤字の主な原因はやはり、
内部の店舗経営のあり方自体に最大の問題があったと思わない限り、
改善しようという熱意が失われ、また中古の付けに陥り、
問題は先送りされるだけです。中古を復活しても新作の売り方、仕入の仕方、
レイアウト構成などを考え直さなければ本質的な問題は解決されません。
中古の高粗利に頼った経営体質に逆戻りするだけです。
中古の高利益が経営体質を甘くしたことを忘れてはならないのです。
何も、それは商品の売り方や仕入に限ったことではなく、
人件費やその他の使い方にも影響を与えてきました。
それに中古のかつての繁栄が復活するとは限らないのですから。
このまま安易に中古に流されてはいけないのです。
店舗の改善策は平行して早急に実施しなければならない課題であることを是非認識して下さい。

①の滞留在庫の処分にあてる財源を少し考えて見ましょう。
滞留在庫はここ何年もたまる一方で、
半年間同数で残り1ヶのものと在庫2以上の複数在庫部分をたすと、
全店で一億五千万以上の在庫棚卸額になります。
6月度の全店在庫が仙台を除いて四億七千万ぐらいですから、
実に3/1程度が滞留在庫またはその候補になっています。
店によっては収益を取りながら、自力で滞留在庫を掃くことが困難なお店も増えてきました。
当然、全店が考えることはこの滞留在庫を中古の粗利を財源にし、
一気に在庫の健全化を計ることを考えることでしょう。中長期にみても方向性は正しい考え方です。

しかし、これを掃くだけの事業部の体力ひいては会社全体の体力は今はありません。
現在の実績では事業部ベースで上期はもちろん下期も赤字に転落する見込みです。
さらに会社全体が黒字化するためには中古の売上が下期で
一億五千万以上の売上の上乗せを見込まなければなりません。
しかも、中古の粗利が前述した事に一銭も費やされることなくまるまる収益に上乗せしたとしてです。

こんな状況では滞留在庫の元本に手をつけることはとてもできません。
一気に滞留在庫を半年で健全化しかつ会社全体の収益を黒字化する為
には中古売上が少なくても粗利50%で四億五千万の売上増が必要です。
これは事実上達成不可能な売上です。たとえ、
店ベースで黒字でも事業部ベースで黒字でなければ意味がありません。

とすれば、短期的には競争力アップや滞留在庫の健全化を優先するか、
会社全体の収益を改善するかどちらかを選択しなければなりません。
運が悪いことに他の事業部も同様に深刻な問題を抱え予断を許さない状況にあります。
みなさんもご存知のように会社設立以来、我社は通期を通してはじめて赤字に転落しました。親
会社の経営判断がもし存続の意義無しと見なされれば、解散させられます。
たとえ改善計画があろうと会社が存続していなければ意味がありません。
このまま来年以降も改善の見込みがなく赤字が出ればいずれは重い決断が下されることでしょう。
親会社もあまり余裕が無いようです。

結果として目先の収益の改善を計り、会社の延命を維持しつつ、
中長期的には、店舗の構造改革を実施し、
滞留在庫を生み出さない売り方・仕入れ・店づくりを考え、
より綿密な運営で利益の確保と安定を目指さなければなりません。
その実施の為に中古の利益は非常に重要です。
一円も無駄にできない固有の唯一の財源です
決して今より楽になったり、余裕の為に使える財源ではないことを考慮してください。
また、滞留在庫にまわせる財源も前述の理由から慎重に
収益バランスを考えながら計画的に削減を実施しなければなりません。
具体的には6月度の半年間同数でかつ在庫2以上の
複数在庫金額の新規滞留在庫増加金額相当分が妥当な割り当て金額であると思います。
(H1206在庫推移表参照)
また、店舗の構造改革案も現在一部のお店で実施中ですが、
実施の効果を検証しつつ順次他店で実施してもらう予定です。

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結局このあと…

このメールから19年。
既にこのお店は消滅しました。
赤字転落して閉店になったわけですね。
時代の流れとは、とても厳しいものですし、
時代の流れから外れていると、お店というものは
すぐにダメになってしまいます。

中古買取販売、という業態が、
既にニーズには合わなくなりつつ
あるのでしょうね…。

難しい話ではありますが、
明らかに売れない在庫を大量に
抱えている、という状況が続けば
それは、結果的にお店を破滅に導くことになるのです

まとめ

中古買取販売業界は、何も今に苦しくなったわけではありません。
前々から苦しい一面はあったのです。
それを、上手くごまかしていただけ。

しかしながら、ネットショップだとか、
オークションなどでさらに便利な世の中になったために
ついに誤魔化しきれなくなってしまい、
今、中古買取販売を店舗で行うことは
困難な時代にまで来ていると思います。

今後、対策ができなければ徐々に生き残っている
店舗も衰退していくことになるでしょう。

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