プロ野球では「FA宣言」をした選手を獲得した際には、
その選手がAランク・Bランクと呼ばれるランクだった場合、
”人的補償”または”金銭補償”が発生します。
人的補償は、獲得した選手の代わりに相手チームに一人選手を
渡すことを示し、
金銭補償は、獲得した選手の代わりに金銭を支払うことを
意味しています。
※人的補償自体は、ランクについては⇒人的補償とは?の項目の方を
参考にしてみてください。
こちらでは、そのうちの”金銭補償”の方について
解説していきます。
金銭補償とは?
金銭補償は、その名の通り、
獲得した選手の代わりに、獲得した選手が元々所属していた
球団に”お金”を支払う、というものになります。
FA宣言した選手を”取られた側”の球団は
人的補償(実際には金銭も多少含まれる)か、金銭補償を
選ぶことができ、
金銭補償の方を選んだ場合は、
選手は獲得せずに、金銭を得る…ということになります。
どのぐらいの金銭を支払うの?
FA宣言をした選手を獲得した際に、
相手の球団が”金銭補償”の方を選択した場合に関しては
”前の球団での年俸”の〇〇パーセントを相手球団に
支払う必要があり、
獲得した選手が”Aランク”の場合は80%、
Bランクの場合は60%を支払うことになります。
そのため、例えば年俸1億円のBランクの選手を獲得し、
相手球団が金銭補償を選択した場合は
その60%にあたる6000万円を相手球団に支払うことになる…
というものになります。
(なお、FA宣言した選手が2度目以降のFA宣言である場合は
この金銭補償の金額は下がります)
このように、FA宣言をした選手を獲得した際にも
こうして金銭のやり取りが発生することがある…
ということですね。
一方で、FA宣言をした選手がCランクの選手の場合は
こういった補償は発生せず、
人的補償・金銭補償共に発生しません。
そのため、逆にCランクの選手がFA宣言をすると
争奪戦が起きるような現象も時折確認できます。
人的補償を選んでも…
よく、選択肢は”人的補償”か”金銭補償”か、の
ような言い方もされますが
実際には、人的補償を選んだ場合にも
金銭の補償も発生していて、
金銭補償ではなく、人的補償を選択した場合も、
”お金”の支払いは発生します。
ただ、単独で金銭補償を選んだ場合とは異なり、
人的補償を選んだ場合、
Aランクの選手の場合は前の球団での年俸の50%、
Bランクの選手の場合は40%の金銭を支払うことになります。
そのため、実際には相手球団が
人的補償を選んだ場合でも、金銭補償を選んだ場合でも
金銭自体は払うことになる、ということです。
金銭補償を選ぶ球団はあるの?
↑のように見ると、
人的補償を選んでもどっちみちお金もある程度貰えるなら、
”人的補償”の方がいいんじゃ?と思う人も多いと思います。
確かに、全体的に見れば金銭補償ではなく
人的補償の方を選ぶ球団が多いですが、
中には金銭補償を選択する球団もあり、
例えば2024年~2025年のオフシーズンでは
広島東洋カープが、FAした選手を取られた際に
”金銭補償”の方を選択しています。
また、福岡ソフトバンクホークスは
大半のFAの補償を”金銭”の方を選択しています。
(ただし、24年~25年のオフシーズンでは人的補償を初めて選択していました)
そのため、必ずしも全てのFAの事例において
”人的補償”が選ばれているわけではありません。
ただ、全体的に見れば人的補償が選択されるケースの方が
多い傾向にはあります。
人的補償を選ばない理由は…?
人的補償ではなく、金銭補償の方を選ぶ理由としては
各球団共に、様々な思惑がありますが、
下記のような理由が考えられます。
・獲得したい選手がいなかった
FA宣言後の人的補償は、
”人的補償を取られる側の球団”が、
プロテクトリストというものを提出でき、
それによって28人までの選手を守ることができます。
(プロテクトリストに載っている選手はFA選手を獲得された側の
球団が人的補償として獲得することができません)
そのため、”相手球団から欲しい選手がいない”ということに
なってしまう場合もあり、
(例えばもうたくさんいるポジションの選手以外はプロテクトされているなど)
その場合は、人的補償を選ばずに金銭補償という道を選ぶこともあります。
・支配下登録選手が多すぎる
支配下登録は各チーム70名まで可能ですが、
既にこの70人に近い人数の支配下選手がいる場合、
支配下枠を無駄に増やさないために、人的補償では選手を獲得せずに
金銭補償を選ぶケースがあります。
開幕前に支配下の選手が70人に近いと、育成選手のモチベーションに
影響したり、シーズン開幕後に助っ人の獲得などが難しくなるため
FA関連の動きがある時期にはまだ、支配下枠を空けておくケースは
それなりに多いです。
このようなところでしょうか。
色々、各球団ごとに戦術や考えがあって、
人的補償ではなく、金銭補償を選ぶケースもあるのです。
まとめ
プロ野球のFA宣言をした選手が
獲得されたチームが求めることができる
”金銭補償”について解説しました。
基本的には人的補償が選ばれるケースが多いですが
必ずしもそうではなく、
獲得したいポジションの選手がプロテクトされていたり、
または支配下登録の枠がギリギリだったりする場合に関しては、
人的補償ではなく金銭補償の方を選ぶケースも存在する、
ということになります。
こういったオフシーズンの動きも、野球ファンにとっては
楽しみの一つですね。
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