若者の未婚率上昇は止まったように見えても、また上がる可能性も。理由は?

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「未婚率」は、全体的に上がり続けており、
今後もさらに上がると言われています。

一定の割合まで上がり、その後は上昇が緩やかになり、
あとは横ばいの状態が続く…というのが
現実的な未来となるでしょう。

そして、若年層の「未婚率」に関しては
既に天井を迎えた…とも一部で言われており、
確かに、20代、30代あたりの年齢別の未婚率を見ると、
一部を除き、2005年あたりから、上昇が非常に緩やかに
なっていることがわかります。

5年ごとに未婚率の推移が発表されますが、
現時点で最新の2020年のものを見ても、
確かに「生涯未婚率(平均50歳時点での未婚率)」は、
上がってはいますが、
若者(20代や30代)の年齢別の未婚率は
ほとんど上がっていません。

そうなってくると”もう未婚率は上がらないのではないか”と
思う人もいるかもしれません。
しかし、実際のところはどうなのでしょうか。

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今後はどうなるの?

20代、30代の年齢別・性別ごとの
未婚率を見て見ると
確かに2005年以上は、非常に緩やかな上昇に変わっており、
それまでよりも未婚率の上昇ペースは落ちています。

まだ、緩やかに上昇している年齢層がほとんどですが、
男性の30代に至っては、ほんのわずかながら
未婚率の割合が落ちたりするような動きも見られます。

そうなってくると
「今、20代・30代の人」が「生涯未婚率」に加算されることになる
20~30年後ぐらいには、
生涯未婚率自体も、今現在の20代・30代の未婚率と同じように、
変化がなくなってくる可能性は十分に考えられることです。

私も、以前、未婚率について書いた際に
「しばらく上昇を続けて、上昇ペースが鈍くなり、
どこかで横ばいになって、
その後は大きく下がることはなく、
少し上がったり、下がったりを繰り返す」と言いましたが
恐らくはその通りになるのではないか…とは思います。

ただ、”止まるポイント”がどのぐらいなのかは今の段階では
なんとも言えず、公式に出ている今後の推計を見る限りは
男性の場合でも30パーセント前後でほぼ上昇が
緩やかになる推計が出ています。

ですが、そこで止まるとは限らず、
40%かもしれませんし、過半数が未婚の時代も
やってくる可能性は、否定はできません。

今現在は若い年齢層の未婚率は
緩やかになりつつあるのは、確かに事実ではありますが、
必ずしも、”これで打ち止め”とは限らないわけです。

その理由について、見ていきましょう。

そもそも「同じ」ように結婚するとは限らない

若者の未婚率の上昇は確かに止まっています。
見た感じでは20代~30代の未婚率の上昇はほぼ止まっている状態で、
40代以上の未婚率は今も上がっている、という状態です。

そうなってくると”若者の未婚率の上昇が止まっているのだから”
10年、20年程度遅れて生涯未婚率の上昇も止まるだろう、と
考えるのは分かります。

しかし、今の時代、結婚に興味がない人も増えていますし、
結婚できない人は、本当にできないものです。

例えば、昔は、30~34歳の時点で未婚率が40あったとして、
その人達が20年後、生涯未婚に加わる50歳前後になったときには
未婚率が20になっていたとしても、
”この先も同じ”とは限らないわけです。

例えば現代の30~34歳が同じく未婚率40だったとしても、
現代の30~34歳が生涯未婚になるぐらいの年齢(およそ15年~20年程度)に
未婚率が、昔と同じように20になるとは限らない、ということです。

もしかしたら30パーセントは未婚かもしれません。

このように、”若い世代の未婚率上昇が止まった”としても、
”若い世代”~”生涯未婚率に加算される世代”までの間の時間に、
”昔と同じような割合の人が結婚する”とは限らず、
”未婚者の中の結婚できる人の割合”が年々減っていく可能性もあるわけです。

そのため”若者の未婚率上昇がほぼ止まっている!
だから10年、20年後には生涯未婚率も!”
と…確実に言いきれるわけではないのです。

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きっかけがあれば再び急上昇する可能性

年齢別・性別ごとの未婚率の伸びを見ていると、
過去には、”急に未婚率が上がり始めた”時期があります。

そのため、今後もそういったことが起きない保証は
どこにもありません。

もちろん、逆に未婚率が急に下がる…という可能性も
0ではありませんが、
「未婚率が急に下がる」
「未婚率が急に上がる」
どちらの可能性が高いか、と言われれば
圧倒的に後者です。

これは、これまでの状況を見ても分かることだと思います。

未婚率を下げる、ということは非常に困難なことであり、
現実的にほぼ不可能な対策などをしない限り、
仮に未婚率の上昇ペースが落ちて、上昇が止まったとしても、
大きく下がることはないでしょう。
(今回の統計では少し落ちた、だとか、その程度の変化に
留まる可能性が非常に高いです)

が、未婚率の上昇のほうは「少しでも悪いこと」が起きれば
すぐにペースも上がるでしょうし、
未婚率を下げることよりも、遥かに簡単に上がっていくものです。

”何”がきっかけになるかは分かりませんが、
再び何かきっかけがあれば、
一度は止まっても、再び未婚率は、簡単に上昇していくことに
なるはずです。

「きっかけ」は既に生まれてしまった

↑で書いた「きっかけがあれば未婚率は上昇する」という点ですが、
これに関しては、
既に「きっかけ」は生まれてしまいました。

それが、2020年から世界中を騒がせている
感染症の拡大です。

現時点での最新の統計は「2020年」のものです。
つまり、感染症拡大や緊急事態宣言などは既に世の中で
起きていた時期ではありますが、
そんなにすぐに未婚率に影響が出ることはありませんから、
影響が出るとしたら「2025年」の統計あたりからに
なるでしょう。

これがどのように影響するかは、不透明な部分もありますが、
”未婚率が下がる要因”になるとは非常に考えられにくく、
感染症予防のために”人同士の関り”も避ける機会が増えましたから
「結婚」という点に関しては大きなマイナスになることが
考えられます。

また、出会いや接点が減っただけではなく、
失業者なども増えていて、
失業しないまでも、自粛などに伴う経済的な打撃を受けた人も多いです。

お金がなければ、結婚には簡単に踏み切ることは
できませんから、
”未婚率が上昇する要素”は、揃っている、というのが現実です。

この点を考えると、
2025年以降、再び若い年齢層も含め、
未婚率の上昇ペースが増えたり、あるいは急激に増えたりする可能性は
十分に考えられることです。

2020年の統計を見て「未婚率はもう頭打ち」としているのであれば
少し楽観的過ぎると言えます。
その統計の前後から、世の中は大きく変わり、
「未婚率が上がる要素」も多くなっていますから、
また、未婚率は上昇を始めるのではないでしょうか。

改善は困難

未婚率の改善は”困難”です。

金銭的な面も挙げられていますが、
かと言って「経済的に苦しくて結婚できない人」が
結婚に至るほどの支援をできるかどうか、と
言われれば現実的にはなかなか実行されることはないでしょうし、
未婚率の上昇は、それだけが全てではなく
「そもそも結婚する気がない人の増加」や
「相手が見つからない人の増加」などもあり、
現実的な方法で未婚率を改善させることは難しいです。

出生率も低下している現在、
今後は「人口がある程度減ることを想定して社会のしくみ作りをしていく」
と、いうことが現実的な対処法になるのではないでしょうか。

昔のように、独身はほとんどいない、みたいな
世の中に戻ることはないでしょう。

まとめ

若い世代の未婚率は(20代~30代)今のところ
上昇ペースが落ちていますが
これで未婚率の上昇が止まるのか、と言われれば
答えはNoであると考えられます。

感染症拡大などの影響も、
これから出てくることでしょう。

未婚率は、まだ当面の間はペースは落ちたとしても
上がっていく、というのが現実的です。

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