”縦マルチ”とは、
最新ハードと1個前のハードに同じソフトを
同時発売することを示します。
(後から前のハードに発売されたものが新ハードに発売される場合は
この表現は基本的に使われません)
PS4とPS5で同時発売されるソフトや、
WiiとWiiUで同時発売されるソフト、
XBOXONEとXBOXSeriesで同時発売されるソフトなどが
この”縦マルチ”に当てはまります。
今回はこの”縦マルチ”を任天堂はどのぐらいしたことが
あるのかどうか、今後はどうなるのかを、解説していきたいと思います。
任天堂は”縦マルチ”は少ない傾向にある
任天堂はゲーム機本体を展開するメーカーなので、
基本的には”縦マルチ”が少ない傾向にあります。
と、言うのも、
ゲーム機を展開するメーカーは
新しいゲーム機を発売した場合には”できれば”それを売りたいわけですから、
ソフトの売上を多少犠牲にしてでも、新ハード専用に新作を
発売し、新しいゲーム機の売上を引っ張っていく必要があります。
そのため、任天堂もそうですし、
プレイステーションを展開するSONYや、XBOXを展開するマイクロソフトも
基本的にはこれまでは縦マルチが少ない傾向にありました。
任天堂も、縦マルチと呼ばれる方式でソフトを発売したケースは
現時点では限られたものになっています。
ゲーム機を自分のところで展開していないメーカーは
”ゲーム機が売れる・売れない”よりも”ソフトの売上が優先”ですから、
例えば最新ハードが苦戦していれば、1個前のハード向けにも
同じソフトを同時発売するのは当然の判断であり、
正しい判断です。
ゲーム機が売れる・売れないはソフトメーカーにとっては
”最優先事項”ではないですからね。
ただ、ゲーム機のビジネスをしているメーカーは、
そうではないので、ソフトの売上を犠牲にしつつ、
最新ハードが売れるように仕向けるために、
縦マルチを早めに切る傾向にあります。
(1個前のハードにもいつまでも新作を発売し続けていると、
いつまでも”これで十分”というユーザーが増えてしまいますからね…)
ただ、この先の時代はなかなかそうも言ってられない事情もあり、
実際にSONYやマイクロソフトも以前と比較すると
”縦マルチ”が増えている傾向にあります。
(この点は詳しく後述します)
任天堂のこれまでの”縦マルチ”
任天堂が”最新ハード”と”1個前のハード”に
新作を同時発売した例は、これまでに非常に少なく、
ゲームキューブ⇒Wiiの際に発売された
「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」と、
WiiU⇒Switchの際に発売された
「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」となっています。
この2タイトルは、2機種に同時発売される”縦マルチ”の
展開を取っていました。
ただ、任天堂はWiiとSwitchの際には
本体同時発売以降のタイトルは全て最新ハードのみに
発売していて、縦マルチはあっという間に切っている状態です。
なお、Switch発売後の3DSには
3DSとSwitchで同時発売のタイトルもあり、
(Switchを3DSの後継機として考えるのは若干違う気もしますが
仮にそう考えるなら)
ここでもいくつか”縦マルチ”は存在しており、
「進めキノピオ隊長」と「寿司ストライカー」の2タイトルが、
3DSとSwitchで同時発売されています。
これも縦マルチとして考えるのであれば
現在までに↑の2つを含めた事例が、
”任天堂の縦マルチタイトル”となります。
”縦マルチ”ではなく、前のハードに新作を出すケースの方が多い
今の時点で言うと、
任天堂は次世代機発売後、
”次世代機と前世代機に新作を同時発売する縦マルチ”よりも
”次世代機発売後に、あえて前世代機で発売する新作”の方が多いです。
つまり、最新ハードではなく、1個前のハードに新作を出し、
最新ハード版は存在しないタイトル、ということですね。
DSの際には「ポケモンタイピング」「あつめてカービィ」
「ポケットモンスターブラック2&ホワイト2」が後継機(3DS)発売後、
あえてDSのみで発売されているほか、
ゲームボーイアドバンスの際には、当初、後継機のDSは”第3のハード”として
後継機扱いしていなかったせいか、DS発売後に17タイトルも任天堂から
前世代機であるアドバンス向けに発売されています。
(その中には「リズム天国」やマリオ、ドンキーなど人気タイトルもあります)
スーパーファミコンの際にも後継機のN64発売後、
カセットで発売されたタイトルが5つあるなど、
”縦マルチ”よりも、”次世代機発売後、あえて前の世代のハードに新作を出した”
事例の方が今のところは遥かに多いです。
ただ、次世代機発売時点で既に衰退しているハードの場合は、
次世代機発売後には同発縦マルチを除くと、1本も任天堂から新作が出ないことも多いですね。
(N64、ゲームキューブ、Wii、WiiUなど)
逆に次世代機発売時点でも好調なハードの場合、
上で挙げたスーパーファミコンやDS、GBAなどのように
その後も引き続き任天堂タイトルが発売されることが多いです。
今後は縦マルチも増える可能性
ゲーム機の移行は以前よりも”難しい”時代になっており、
また、移行に年数も要するようになっています。
その理由としてはまず
「ゲーム機の価格高騰」で、以前よりもハイスペックになりつつある
ゲーム機はどうしても高額になりつつあり、
”なかなかすぐに買い替えることができない”状態です。
以前よりも移行のハードルは価格面の理由で
大幅に高まっていると言えるでしょう。
また「転売」も、移行に時間がかかる理由で、
最近のゲーム機は発売直後は転売が横行し、なかなかお店に並ばないケースが多く
PS5やSwitchは特にそれに悩まされました。
こういった点も新ハードへの移行は難しくなっている原因の一つで、
任天堂ハードも例外ではありません。
そのため、これまでのように”即移行”は現実的に難しくなっており、
例えばプレイステーションも、SONY自体が縦マルチを今まで以上に
続けていたなど、環境は変わりつつあります。
任天堂も、そういった状況は判断しつつ、
縦マルチのタイトルも今後はある程度増えていく可能性があります。
どんなに新ハードを普及させたくても、
特に任天堂の場合は、別事業をグループで多く抱えているわけではなく
ゲーム事業が中心ですから、ソフトが売れないと困ってしまいます。
また、WiiU・3DSまでの時代と違い、
据置機・携帯機を統合したため、
それによるメリットはもちろん非常に大きいですが
裏を返せば、例えばWiiUが崩れた時に3DSがなんとか支えていた…というような
ことはできません。
そのため、移行時にもソフトの売上をある程度稼ぐ必要も
出て来るでしょう。
そのような環境から、今後、任天堂タイトルも縦マルチが
ある程度、移行期には増加するのではないかと考えられます。
(あるいは、GBAの時のように後継機を出したあとも、数十本の新作を
前のハードに出す、という対応かもしれませんが)
まとめ
ゲーム機の”移行”も時代と共に形が変わり、
特に”価格の高騰”や”転売”などによって
移行をスムーズに行うことは困難になりつつあり、
この先の移行は”年単位でゆっくり行っていく”ことが
基本になると考えられます。
任天堂は基本的に縦マルチは少ないですが、
記事執筆時点で控えている移行(Switch⇒Switch2)に関しても、
縦マルチが増加したり、あるいはSwitch2に互換性があることを見越して
Switch1ソフトをしばらく発売したりと
”緩やかに”移行していくものと考えられます。
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