日本でロックダウンする場合の5つの問題点。解決しないと実施は難しい。

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感染症予防などを目的とした「ロックダウン」

海外では実際に行われた国もありますが
日本国内では、非常に難しい、というのが現実です。

と、いうのも、実際にロックダウンをするとなると、
様々な課題が日本国内では出て来るからです。

他国はあくまでも他国であり、
国内とは色々な事情が異なります。

「他国でできたから出来る」ということではなく、
国内の状況をしっかりと考えて、
課題をすべて解決していかないと、
実際に実施することは、非常に困難でしょう。

理想論ばかり語っていても、前には進めませんし、
ロックダウンのような、日常生活に非常に大きな支障をきたす
対策は、見切り発車で行うこともできません。

現実的に「課題」となることを、それぞれ見ていきましょう。
これらの「課題」に対する対策を全て具体的に考えてからでないと
国内でのロックダウンや都市封鎖は、難しいでしょう。

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国内ロックダウンの「課題」全部解決しないと実施できない

国内でロックダウンをするためには
非常に大きな課題がいくつもあります。
まずはそれを羅列すると、

①法律上の問題
②個人の生活や、企業に対する補償の問題
③大パニックに対する対策
④不満に対する対策
⑤ロックダウン解除後に、感染者が再び増えることに対する対策

この5つを
最低限全てクリアしない限り、国内でのロックダウンは
厳しいでしょうし、
5つの課題全てに対する対応策を示せないまま
ロックダウンすれば、今度は社会崩壊してしまいます。

感染症対策のためにロックダウンするはずが、
社会が壊れてしまったら本末転倒ですよね。

賛成・反対は色々あると思いますが
どちらにせよ、この「5つの課題」は、実際に行うことを
検討する前に、しっかり解決策を考えておかなければなりません。

一つ一つ、順番に見ていきましょう。

法律上の問題

まず、現時点(2021/08)では、法律上
ロックダウンや都市封鎖を行うことはできません。
日本には、そういう法律が存在していないためです。

現時点では緊急事態宣言が限界で、
ロックダウンを行うためには、法改正を行う必要があります。

が、実際に行うとすれば
どのような決まりを作るかどうかで相当揉めると思いますし、
反対意見も相当出て来るでしょう。

まず、この時点でかなり厳しい道のりになることが
予想されますし、
日常生活に大きく支障が出る対策ですから、
緊急事態宣言のように、安易に何度も出せるようにしてしまうわけにもいかず、
非常にルールの線引きが厳しい、というのが事実です。

少なくとも、法律上そういったものが出来上がらない限り、
ロックダウンが行われることは(できないため)ありません。

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補償の問題

ロックダウンをするとなれば、
個人の収入、企業の収益などに大きな影響を出すことになります。

そのため「個人に対する補償」「企業に対する補償」、
両方が必須になるわけです。
緊急事態宣言のように、「一部の業種にのみ補償」では、
社会が破滅してしまいます。

個人も仕事に行けなくなれば
収入を補償しなければいけませんし、
企業活動も出来ないのであれば、活動できない全業種に補償する必要があります。

仮に補償しなかったり、補償が遅れるようなことがあれば
大パニックが起きたり、ヘタをすれば、事件沙汰なことも起きるでしょう。

ですので「遅れずに全業種・個人に補償できるのか」が
非常に重要な課題となります。
出来ないのであれば、ロックダウンをすることは難しいでしょう。

飲食関係などだけではなく、
交通業界から、生活必需品以外の小売店から、
何から何まで、休業することになってしまう業種には、
全て補償する必要があります。

ただ、その財源だったりだとか、
補償を支払うまでのスピード感だったりだとか、
緊急事態宣言の対応を見ていると、
このあたり、相当、色々な部分を改善しないと不可能だと
思いますから、かなり時間がかかるものと考えられます。

「補償なし」でロックダウンすれば、経済は破綻します。
ですので、やるなら補償は絶対に必要なのです。

どうしても補償できず…ということであれば、
「外出禁止(仕事除く)」という
ちょっと緩い感じのものにして
対策するしかないかもしれません。

大パニックに対する対策

日本でロックダウンすれば、確実にパニックが起きます。

1回目の緊急事態宣言ですら、スーパーで買い占めなどをする
人が出てしまったぐらいで、
良くも悪くも慎重・神経質な人が多い社会ですから、
パニックにより、社会が崩壊する可能性も考えられます。

”このパニックをどう抑えるか”ですね。

自然災害でもそうですが「パニック」は一番恐ろしいものの一つです。

ロックダウンをするとなれば、相当なパニックが「必ず」起きるので、
それをいかにして抑えるか。

「いつまでなのかを明確にする」
「ルールを明確にする」
「生活必需品販売・物流・病院ど絶対に必要なものは止めない」
「個人・企業に必ず補償する」

などなど、パニックを0にすることはできずとも
それをなるべく抑える対策は絶対に必要です。

何もせずにロックダウンすれば、ロックパニックが起きます。

不満に対する対策

ロックダウンをするとなると、非常に大きな不満で溢れることに
なることが想定されます。
緊急事態宣言の乱用により、既に不満を抱いている人は
一部で増えつつあり、ロックダウンと言いだせば
これが爆発してしまう可能性も否定はできません。

こういった、有事に対する想定はしっかりとしておく必要があり、
また、緩めるべきところは緩めるなど、しておく必要があります。

「鞭と鞭」では人間、不満が爆発します。
「飴と鞭」を与えることが大事ということですね。

また、上に立つ側の人間の
「態度」も重要になります。
ロックダウンをお願いする際に、高圧的な態度だったりすれば
余計に反発を買うことになりますからそういう”振る舞い”の
部分も大事になりますね。

不満を放置すれば、治安が崩壊します。
そうなってから、後悔したのであれば、手遅れですから、
先にこの点もしっかりと検討していく必要があります。

また、外出禁止も非常にリスクが高く、
国内の場合、普通に外出する人が多い状態が繰り返されて
衝突や逮捕者の増加なども懸念されます。
あまり、強気すぎる罰則などは、特に最初は控えたほうが良いでしょう。

不満の爆発は、非常に恐ろしい結果を招きます。

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解除後の対策

「ロックダウン解除後に、感染者が再び増えること」に対する対策は
あるのかどうか。
ないなら、意味がありません。

ロックダウンも、緊急事態宣言と同じように
解除すれば感染者数は再び増えます。

ロックダウンの方が、短期で感染者数をある程度減少させる力は
あるとは思いますが
それでも「0」にするのは厳しいため
(例えば奇跡が起きて国内0人になっても、海外からまた入って来る)、
ロックダウン解除後の対策が何もないのにロックダウンすれば
解除⇒増えた⇒ロックダウン⇒解除⇒増えた⇒ロックダウンの
無限ループに突入します。

そんなことをしていては、社会が持ちませんから、
「解除後に増えること」に対する対策を事前に練り、
示すことは必須です。

何も対策がないなら、また感染拡大を繰り返すだけです。

時折、ロックダウンをすれば解決!みたいな勘違いも見受けますが、
しても、解除後にはまた増えるので、その対策は絶対に必須であり、
対策がないなら、ロックダウンは難しいでしょう。

まとめ

簡単にロックダウンを口にする人もいますが、
非常にリスクを伴う対策です。

上に挙げた5つの課題は最低限、
先に対策し、解決策を示しておかないと、
感染対策どころか、社会が壊れてしまうことにも
繋がりかねませんので、
慎重に、どう対応するか、それぞれの課題と
真剣に向き合っていく必要があります。

どれか一つでも解決策を明示できないのであれば、
ロックダウンは、やめておいた方が良いでしょう。
それぐらい、大事なことです。

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