”ゲーム機の値上げ”…
基本的に、国内ではそのようなことが行われた事例は少なく、
プレイステーション5やXBOXSeriesが値上げした以外には
ほとんど例がありません。
では、この”ゲーム機の値上げ”は、
そのゲーム機の売上・普及に影響を及ぼしたりするのでしょうか。
当然、同じ商品であれば”値段が安いほうが”買う側としては
ありがたいのは当然のことですし、
値段が高くなればなるほど、購入の手が遠のいてしまうのも
また、当然のことです。
が…実際に売上や普及に影響があるのかどうか、
それとも気にするほどのレベルではないのか、
この点は気になるところだと思います。
この点について、それぞれ詳しく解説していきます。
「値上げ」は売上台数・普及を鈍らせる
結論から言うと、海外ではまた別だとは思いますが
日本国内において、”値上げ”はそのゲーム機の
売上台数・普及台数を鈍らせることになります。
と、言うのもプレイステーション5を例に挙げてみると、
実際に”値上げの度に”売り上げペースを落としているためです。
PS5はこれまで3回ほど値上げをしていますが、
1度目の値上げの時は、まだ”品薄”の最中だったために
あまり大きな変化は見られませんでしたが、
2度目、3度目の値上げの時には
確実に週間売上台数のペースが落ちており、
2023年の前半に品薄が解消されて以降は、
ニンテンドースイッチの週間売上台数を上回るような週も
それなりにあったりするなど、
”いよいよ普及が本格化”するような売上を記録し始めていましたが、
2023年11月に薄型発売の際に値上げしてからは、
週間の売上台数が鈍化し、
ニンテンドースイッチを毎週下回るようになりました。
これ以降は、ファイナルファンタジー7リメイクの第2弾が
PS5独占で発売された週も、Switchを下回るなど
国内での売上の鈍化が見られました。
さらに、2024年9月に3度目の値上げを行ってからは
週間売上台数の平均がさらに鈍ることになり、
平均して週間で1万台~2万台程度の売上と厳しい状況に陥っています。
モンハン発売の時だけは流石に伸びましたが
それ以外は、かなり苦しい数字が出ており、
実際に”値上げする度にペースダウンしている”というのが現実です。
このことから、”ゲーム機の値上げ”は
少なくとも国内においては売上台数のペースを鈍化させ、
普及のペースを鈍らせてしまうことが、
PS5の売上によって証明されています。
なお、XBOXSeriesに関しては
元々国内では毎週の売上台数がかなりスローペースであるため、
値上げによる影響自体は、あまり(元々低いこともあって)
ハッキリと見える数字としては出て来ていません。
国内ゲーム業界の歴史を見てみると…
国内のゲーム業界の歴史を見てみると、
過去”5万を超えるようなゲーム機”は、国内市場の
トップに立つことは出来ていません。
5万を超えたようなゲーム機は、過去、それなりにありますが
いずれもその世代の他のゲーム機の方が普及している傾向が強く、
例えばプレイステーション3も発売当初、
非常に高額な価格設定であったこともあって、
PS1・PS2と続いたプレイステーションの黄金時代とも言える時代が終わり、
競合機であるWiiに国内のトップの座を奪われました。
(ただし、後半、値下げしてからはある程度巻き返しています)
他にも、5万を超えるようなゲーム機が
国内の市場のトップに立ったケースはないため、
このことを考えると、国内のゲーム市場では特に”価格”は
重要視される要素の一つになる、と言えます。
当然ながら、値上げをすればするほど
この価格に近付いたり、
さらに上回るようなことになってしまいますから、
売上台数や普及にも大きな影響を及ぼすことに
なるでしょう。
上位モデル発売で値段が上がるケースは…?
最初に書いたPS5のような、
大幅な変更なしで値上げをしてしまったり、
前のモデルを廃止してそれしか選択肢がなくなってしまったりすると、
国内では売上台数のペースに影響が出ます。
が、例外として”前のモデルは価格をそのままに、上位モデルを発売した場合”に
関しては売上台数に影響のないケースもあります。
例えば、ニンテンドースイッチは、
最初に発売された通常モデルよりも高額な
「ニンテンドースイッチ(有機ELモデル)」が発売されています。
これは、通常のSwitchよりも高額なモデルになりますが、
Switchの場合は「有機ELモデル」発売後にも、
通常のSwitchも生産・販売を続けているため、
特に全体的な売上に悪影響を及ぼしているようなことはありません。
また、プレイステーション4に関しても
上位モデルの「プレイステーション4 PRO」を発売しましたが
これに関しても、通常のPS4本体は引き続き生産・販売が
行われていたために、売上台数に悪影響が出ているような
ことは見受けられませんでした。
このように、”元の本体よりも高い”モノを発売したとしても
”元々の価格の本体”もそのまま生産・販売を続けていれば
売上台数・普及に影響が出ることはない、ということが
今までの事例から浮かび上がってきます。
ただ、PS5のように、例えば値段が上がった薄型モデルを発売し、
旧型モデルを廃止してしまうと、
前のモデルより機能的にはよくなっていても、
”元の価格の選択肢がなくなってしまう”わけですから
売上に影響が出てしまう、ということになります。
値下げで売上が伸びたケースからも明らか
値上げが売上に悪影響を及ぼすのは
逆のケースである”値下げ”からも明らかで、
ゲーム機は値下げによって売上を伸ばします。
最もそれが大きく出ているのが
「プレイステーション3」と「ニンテンドー3DS」で
どちらのハードも発売直後は苦戦していたハードですが、
PS3の方は先ほども少し触れたように、発売当初
価格が非常に高額で普及が鈍り、競合のWiiに押される形となりました。
ただ、その後は値下げを繰り返し、終盤になると
巻き返し、Wiiが失速したこともあって、
据置機の週間売上台数ではPS3がトップになるケースが多くなっていました。
最終的にWiiには届かなかったものの、後半にかけて数字を大きく伸ばしています。
一方、3DSは携帯機としては高めの価格設定に
任天堂タイトルの不足などから苦戦していましたが
早い段階で任天堂が1万円の値引きに踏み切り、
結果的には息を吹き返して
最終的には成功の部類に入る売上を記録しています。
このように国内の市場は特に
値下げに大きく反応する市場になっていますから、
当然のことながら、その逆の値上げで
逆の反応が起きることは安易に想像できることですし、
まだ、PS5とXBOXSeriesの実例しか国内ではありませんが
実際にPS5は値上げの度に売上ペースを落としている傾向が
出ています。
(逆に、今値下げをすれば売上ペースはかなり伸びる可能性も高いです)
そういったことから、ゲーム機の値上げは
海外ではまた異なる事情であると思われるものの
国内においては売上台数や普及に大きな影を落とすことになるのは
事実です。
まとめ
ゲーム機の値上げは
売上台数や普及のペースに大きな影響を
及ぼします。
初期価格をできる限り抑えることももちろん大事ですし、
(価格が高すぎて失敗した例がこれまでにいくつもあります)
その後、値上げは極力しないことも大事になってきます。
人間は、生活必需品は価格が上がっても仕方なく買いますが
娯楽品は、値上げされるとコア層以外がどんどん離れていくので
この点は注意していく必要があるでしょう。
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