「XBOX Series」には
高性能モデルの「XBOX Series X」と、
スペックを落とした廉価モデルにあたる「XBOX Series S」の
2種類が存在しています。
この「S」は、競合機のswitchやPS5とは異なり
”スペックそのものをある程度抑えることで”、
「X」との価格差を広げることに成功しており、
ゲーム機が高額化している中では、
ユーザーにとってはとても助かる存在であると言えます。
PS5にも「デジタルエディション」はありますが、
あちらは、ディスクドライブを省いただけで
本体のスペック自体は同じである為、
価格を十分に落とすことが出来ず、
デジタルエディションでも約7万円という状態になってしまっています。
しかし、XBOXSeries Sは、スペックそのものをXと
比較した場合に落としているために、4万円代(値上げ前は3万円代)という
価格を実現できています。
その一方で「S」はスペック自体が異なるために、
XBOXSeriesでゲームを発売するためには「X」と「S」両方で動くように調節
しなければならず、またSだと、ハイスペック路線のゲームの開発者からは
場合によっては不満が漏れるような事例も存在しています。
確かに、一つのゲーム機ではあるものの、
事実上、XとS、異なるゲーム機にソフトを出すような感じで
開発しなければならないために手間はかかるでしょう。
では、XBOX Seriesに「S」のモデルは必要だったのかどうか。
この点を見ていきたいと思います。
「XBOX Series S」は長期的に見ても必要な存在
開発者の不満、コアユーザーの不満、
このあたりのことは確かに理解はできます。
しかし、XBOXSeries Sが無ければ
XBOX Seriesは高額な選択肢しかなくなってしまい、
仮にディスクドライブを削っただけのモデルがあっても
もう少し価格は高かったでしょう。
確かに、ゲーム機の価格が2万~3万程度なら「S」モデルは
無くても良かったかもしれません。
ただ、現代のハイスペック路線のゲーム機は
価格の高騰が止まらず、家庭用ゲーム機としては
”高すぎる”価格設定になってしまっているのも事実で、
それが、売上にも直結している状態です。
今後も、ハイスペック路線を進むゲーム機は
高額な価格になることが予想されますから、
そうなってしまうと”ゲームはマニアの遊び”になってしまいます。
それを防ぐ意味でも「XBOX Series」に「S」は必要だったと思いますし
今後のゲーム機にもそういうモデルは必要になるでしょう。
開発者の不満は理解できる。それではゲーム人口が減る
開発者の不満は確かに理解できます。
「X」と「S」のようにスペックの異なる2モデルがあれば、
「S」のための調整も必要になりますし、
「X」だけならできたことも「S」があるから諦める…みたいなことも
起こるでしょう。
クオリティをとにかく追求したいと願うことも
クリエイターとして考えればおかしなことではありません。
「S」が無ければもっとスムーズに開発できたのに、だとか
「S」が無ければあれができたのに、だとか
そういう想いが出て来ることも仕方のないことでしょう。
しかし、それでは”ゲーム人口”が減ってしまいます。
Sのようなスペックを落としたモデルがなければ
ゲーム機の価格は跳ね上がる一方で、
XBOXSeriesもXモデルは6万円越えで
ゲーム機としては異常なレベルで高額です。
とてもじゃありませんが、コアな層以外は
なかなか手を伸ばさないでしょう。
その証拠に、日本国内では特に
PS5の普及も鈍い状態が続いており、
唯一価格帯が抑えられているswitch1強の状態が
何年も続いています。
XBOXは元々国内では普及が少ないので
あまり比較はできませんが
少なくとも日本では「S」モデルの方が売れている状態です。
が、”高額のもの”しかなくなれば
コアな層以外のユーザーはゲームから離れる人も多く出て来るでしょう。
どんなにクオリティを追求しても
ゲーム人口自体が減ってしまえばゲームの売上にも影響が出ますし、
売上が低下すれば、次のゲームの開発の予算が縮小されたり、
最悪の場合はゲーム事業撤退や、開発会社の倒産などにも繋がります。
クリエイターとして”理想”を求めることは当然理解できますし、
それがクリエイターというものですが、
しかし、同時にゲーム開発はビジネスでもあるため、
”ユーザー”がいなければ成り立ちませんし、
利益が出なければ、特にPS5やXBOXSeriesのようなハードのスペックを
十分に使うゲームを作るような予算は下りなくなるでしょう。
そういった面を考えれば、やはり、
「XBOX Series S」は必要ですし、
今後もそういうモデルは必要になっていくと思います。
スペックだけを追い求めて、6万、7万、8万となれば
せっかく、ファミコンの時代以降、幅広い人が遊ぶようになったゲームが
再び”マニアの遊び”に逆戻りしてしまうだけで、
そうなってしまうとゲーム人口は激減、
結局、クリエイター自身の皆さんの首を絞めることにも繋がります。
不満はあれど、Sのようなモデルに合わせつつ
上手く付き合っていかないと、
業界自体の未来がなくなってしまいます。
売上から見るSeries Sの必要性
海外ではともかく、国内ではXBOX Seriesの需要は「S」の方に根強く、
Sの方が売れている状態です。
生産数の兼ね合いもあるとは思いますが
少なくとも「S」の方が全体的に売れ続けている以上、
Sの方を多く出荷していて、それを崩さないということは
国内ではSの方が需要もあるのでしょう。
実際、競合のPS5も国内では値上げのたびに売上を落としており、
苦戦が続いています。
”価格が上がれば、一般層のユーザーは遠のく”
これは、紛れもない事実であり、
SのようなモデルがなかったPS5に関しては
その高額な価格設定から、
未だに一般層にはそれほど浸透しておらず、
実際に”一般層にも名が知れている・ユーザーがいる”ような
タイトルであればあるほど、未だにPS4版の売上が
高かったりしている状態です。
そういった意味でも、Series Sは色々クリエイターや
コアユーザーから言われていても、
必要だった…ということになるかと思います。
将来のコアユーザーを育てる役割を忘れてはいけない
Series SでXBOXデビューして、後からSeries Xを買った…
そんな話も時々聞きます。
そういった人には”廉価モデルが入口になった”わけですね。
しかし、高額モデルだけしか出さなければ
その入口すらなく、”そのまま”で終わりです。
PS5もそうですが、
高額すぎる本体はコア層しか手にしないので、
長期的な目線で見ると
”将来のコアユーザーが育たない”という欠点があります。
大人でも”最初から高いゲーム機”は、ゲームにあまり興味がなければ
なかなか買いませんし、
高額なゲーム機は、子供にはなかなか買い与えられません。
そうなると、例えば”高額のゲーム機”しかない世界になってしまうと
”子供の頃にゲームに触れた”人が減り、
将来的に、その子たちが大人になった時にも
”ゲームには縁がない”大人になってしまい、
なかなかゲームには手を伸ばしません。
”子供の頃に遊んだから、大人になってから懐かしく思って…”なんてことも
ありますし、”スペックを落としたモデル、安いモデルを用意して
今はコア層じゃないユーザー”に触れてもらうことは
十年、20年と経過する上では非常に大事なことなのです。
そういう”入口”を用意しないと、
将来的にゲーム業界はどんどん縮小していくことになります。
将来のユーザーが育たないわけですからね。
ですので、XBOX Series Sは重要な存在ですし、
高額路線が進む中、この先のゲーム機は”入り口”を
用意することが求められるのです。
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