PSP goが失敗に終わった理由は?時代の先取りのしすぎと、他にも…?

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2009年にPSPの1種として登場した
「PSP go」は当時としては非常に珍しい
”ダウンロード版専用のゲーム機”となっていました。

当時は、ゲームに”ダウンロード版”は必ず存在しているわけではなく、
パッケージ版が主流で、
Wii、PS3、XBOX360、DS、PSPのうち、
ダウンロードの方が中心になっているゲーム機はありませんでしたし、
Wiiなど、パッケージ版で発売されているソフトのダウンロード版は
そもそも存在していないゲーム機もありました。

そんな時代に発売されたPSP goですが
当時、全く普及せずにそのまま市場から姿を消しました。
ちょうど、私は当時ゲーム販売店に勤務していましたが
本当に”全く”と言っていいほど売れず、
PSP goが”ごく稀に”売れると店員の間で”奇跡だ”などと
話の話題になるぐらいでした。

では、PSP goは何故失敗してしまったのか
その理由を考えていきたいと思います。

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PSP goは大失敗。周辺機器も含めて滞留在庫に

PSP goは客観的に見ても大失敗に終わってしまったハードで、
売上は15万台前後と言われています。

実際に、当時、販売店で勤務していましたが
本当に売れず、”ほとんどが滞留在庫”になりましたし、
PSP go専用の周辺機器も、ほぼすべてが
”売れずにずっとお店に居座る”状態でした。
正直に言えば、お店からしても”迷惑”な商品と化してしまって
いたのは事実です。
それぐらいに”本当に売れない”状態でした。

しかし「go」以外のPSPは携帯ゲーム機の競合相手だった
任天堂のDSに及ばないまでも、かなりの売上を記録し、
ブームになっていたゲーム機であったことは事実です。

「PSP」は売れたのに「go」だけ売れなかった、と
そういう状況になっていました。
その最大の理由は…

当時は「ダウンロード専用」は早すぎた

最初に書いた通り、当時はまだパッケージ版が
主流であり、ダウンロード版の市場はほとんど出来上がっていない
状態でした。

そんな時代に”ダウンロード版しか買えないゲーム機”を
発売しても、やはりなかなか売れないわけです。
発売前から当時、店舗関係者の内部でも”これは売れるわけがない”という
空気になっていましたが実際にその予感は的中してしまった…
という状況でした。

他にも色々と理由があるとは言え、
当時発売するには”ダウンロード版専用のゲーム機”は
早すぎた、というのが最大の失敗の理由だったのではないかと思います。

仮にもし、現代にPSPが存在して、
今、PSPgoが発売されれば、それなりにgoの方も売れたでしょう。

実際にPS5のデジタルエディションも通常モデルほどではありませんが
それなりには売れているわけですからね。
(※PS5デジタルエディションはダウンロード版専用なので
当時のPSP goと同じような流れのゲーム機です)

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遊べないゲームも存在した

当時は、パッケージ版で発売される全てのソフトに
ダウンロード版が存在しているわけではなかったため、
”PSP goでは遊べない”ゲームも存在する始末でした。

一応は、同じPSPなのに買っても遊べないゲームがある、
と言う状態ではやはり購入の手は引くものですし、
PSPgo登場後も全てのソフトにダウンロード版があるかどうか、ということは
不明瞭だったために
”今後の新作も遊べないものがあるかもしれない”という状況であり、
そんな状況では、”やはり普通のモデルを買っておこう”と
なってしまうのはある意味当然のことでした。

もしも当時、PSPgoを本気で普及させようとするなら、
最低限「全PSPソフトを遊べる状況」にする必要はあったと言えるでしょう。

通常モデルより高額では話にならない

PSPgoは、当時のPSP(通常モデル)より高額な価格設定に
なっていました。

「DL版しか遊べない」というのは基本的にはマイナスであり、
デザインの違いなどはあったとは言え、
”パッケージ版も遊べるPSP”より定価が高いのでは
話になりません。

現在における「DL版しか遊べないゲーム機」も、
PS5もそうですし、XBOXSeriesもそうですが、
”定価は通常モデルよりも安い”状態です。

しかし、PSPgoはその真逆の状況になってしまっていて、
後から値下げはされましたが
発売当時の価格は強気すぎたと言わざるを得ないのは事実です。

初期モデルのPSPよりも高いのは、
(いくらgoならではの機能などもあったとは言え)
ちょっと価格設定を間違っていると言わざるを得ないです。

後から発売したため、買い替え需要が起きにくかった

PS5のように”通常モデル”と”デジタルエディション”を同時発売
したならともかく、PSPの場合は
最初は通常モデルの方だけを発売し、後からDL専用のハードを
発売した形だったので、
”既にPSPを遊んでいる人”の買い替え需要はほぼ起きない状態での
発売となりました。

その理由としては、既にPSPを遊んでいる人は、
当時はパッケージ版が主流だったため、ほとんどの人が
UMD(PSPのディスクの名前)を持っている状態でした。

が、買い替えのためにgoを買ってしまうと、
当然、goはダウンロードソフトしか遊べないので、
”今までに買ったゲームソフト”で遊べなくなってしまうという
状況が生まれます。

しかも”パッケージ版を持っていても、ダウンロード版が無償で貰えるわけではない”
(これは今も同じですね)ので、
既にUMDを持っている人からの買い替え需要が非常に生まれにくい
状態でした。

”普通のPSP”よりも高いお金を出したのに、
”今までに買ったディスクのソフトは遊べない”
しかも、”今後発売されるソフトも全部遊べるか分からない”と
なれば、当然買いたくなくなる人が出て来るのも
決しておかしな話ではありません。

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ネット環境が今ほど整っていなかった

当時はまだ、ゲーム機をネットに接続するのが
当たり前の時代ではなく、
例えばWiiなどでも、”ネット接続率”は今のゲーム機よりも
かなり低い状態でした。

しかし、PSP goはネット環境がなければ
ソフトをダウンロードできないため、
自宅にネット環境がない家もそれなりにあった状態での
発売はやはり”時代が早すぎた”とも言えます。

時代を先取りしすぎた。ただし当時改対応できたはずの点も

結論を言えば”時代を先取りしすぎた”というのが
その答えになるでしょう。

しかし、とは言え、”もう少し売れるように”
商品展開することはできたはずで、

・全てのソフトを少なくとも購入できるようにするべきだった
・価格は通常のPSPと同等、あるいは低価格にするべきだった
・UMDを持っている人への救済処置をもう少し充実させるべきだった

など、色々な点が考えられます。

特に、定価の面で
悪く言えば”ディスクを使えないPSP”なのですから、
通常モデルよりも大幅に高い値段で売れるわけがないのです。

こういった部分に関しては現代で出したとしても
同じことになるでしょうし、
時代を先取りしすぎたのもありますが
”本当に真剣に普及させようとしていたのか”という点は
少し疑問に思うところもあります。

自分たちが”買う立場”になって考えて見れば
”買いたくなくなる”のはすぐに分かるはずのこと
ばかりですからね…。

まとめ

PSPgoは、時代を先取りしすぎたのが
一番の失敗の要因だとは思いますが、
”当時でも、もう少しできることはあった”のは
事実だと思います。

あのデザインではあの価格しかできなかったのであれば
変に拘らずに、普通のモデルと同じような形状にしてでも
コストを下げるべきでしたし、
ソフトに関しても”全てのソフトがDLできる”環境を
早急に作るなどして対応するべきであったとは思います。

ただ、あの失敗が今に生きているのであれば、
PSP goも無駄ではなかった…ということにはなりますね。

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