何でもコアゲーマーの希望通りにしていたらゲーム業界は衰退する。その理由は?

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ゲーム業界にとって、
”コアゲーマー”は大切な存在の一つです。

しかしながら、実際にゲーム業界を見ていると
分かると思いますが
”コアゲーマー向けだけの展開”を全てのゲームメーカーが
するようになってしまったら
ゲーム業界というものは”大幅に衰退すること”になります。

コアゲーマーの「一部」には、
”とにかくクオリティを上げてほしい”だとか
”スイッチ版は発売しないでほしい”だとか
”PS4版は切って欲しい(PS5専用にした方がクオリティが上がる)”だとか
”XBOXSeries「S」は切って欲しい”だとか、
そういう意見も見受けられますが
これらをやってしまうと、結局、最終的にはゲーム業界は
衰退していくことになり、
コアゲーマーの方の好きなゲームも、いずれ発売される本数が
減っていくことになってしまうのです。

私も、ゲーム販売店に勤務していたこともありますし、
ゲーム自体もかなり遊ぶので、気持ちは分かるのですが
↑のようなことではダメなのです。

冷静に全体を見渡せば、そのことが見えてくると思います。

では、どうしてひたすらクオリティを上げるだけではダメなのか、
どうしてコアゲーマーの意見だけ聞いていてはダメなのか、
この点を、見ていきましょう。

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ゲーム業界はコア層だけではなく、多くの層で成り立っている

確かに、一人あたりのゲームに使う金額は
コアゲーマーをはじめとするコア層が一番多いでしょう。

しかしながら、ゲーム業界はコア層だけで成り立っているわけではなく、
”たまにゲームを遊ぶ”ようなライト層、
家族で一緒に遊ぶようなファミリー層などなど
色々なユーザー層が存在しています。

このうちのコア層の方だけを見て展開していては
当然”ゲームに触れる人”の数が減り、
ゲーム業界は衰退していくことになります。

中には、”最初は、親と一緒にワイワイ遊んでいるだけだった”子供が、
大人になったらコアゲーマーになるようなこともあると思いますが
最初から”コア向けばかり”に展開していては
ゲームの世界に触れる機会もなくなり、
”将来のコア層”も育たなくなります。

もちろん、数多く存在するゲームメーカーの中には
”コアゲーマー向けのゲームばかりを作るメーカー”もあると思いますし
逆に”ファミリー層向けのゲームばかりを作るメーカー”もあるでしょう。

ただ、これが”全部コアゲーマー向け”になってはいけない、ということですね。

そうなってしまうと、最終的にゲーム人口が減り、
ゲーム業界は大きな縮小をしていくことになるでしょう。

ライトユーザーは確かに”一人あたり”のゲームに使う金額は少ないとは思いますが
数で言えば、やはりかなりのユーザー層がいると思いますし、
先程書いたように、ライトユーザーとしてゲームに触れて、
その後ゲームに夢中になっていくようなユーザーもいるでしょう。

ですので、ライトユーザーの存在も、ゲーム業界にとっては
必要不可欠な存在であり、
ゲーム業界は”コア層”だけでは成り立っていないのです。

では、各ポイントを見ていきましょう。

スペック重視ではないハードも必要

”一部”のコアユーザーは現在で言うと
「性能の低いスイッチは足を引っ張る」みたいなことを
いう人もいますが、”スペック重視ではないハード”は
ゲーム業界にとって、絶対必要なものです。

と、言うのも”同じ値段で高スペック”にできるのであればともかく
スペックを上げれば上げるほど、やはり”価格”は上がっていきます。

例えばPS5やXBOXSeries「X」は、5万円を超える価格(2023年6月現在)ですが、
これはゲーム好きからすれば高い買い物ではありませんが、
ライト層からすれば「非常に高い」買い物であり、
全部が全部、高スペックハードになってしまったら、
正直なところ”ゲームに触れる人”は大幅に減るでしょう。

スイッチやXBOXSeries「S」のように”その世代で価格を抑えた存在”は
絶対に必要であり、
スペック重視以外のハードは”ゲーム人口を増やすため”にも
必要不可欠な存在です。

結局、ゲーム人口が減れば、高スペックのゲーム機にとっても
長い年月をかけて売上低迷など、デメリットを招くわけですから
「PS5」や「XBOXSeriesX」のような高スペック機だけでは、
ゲーム業界はいずれ衰退することになるのです。

そういう意味では、現在の状態で言うと
「任天堂」のスペック重視ではない展開は
ゲーム人口の拡大において、非常に大事な要素になるはずです。

SONYが携帯機(VitaやPSP)から撤退してしまった今、
ライト層向けの比較的手ごろな価格で購入できるハードは
減っていますからね。

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縦マルチもスイッチ版も必要

もちろん”全てのゲーム”がそうする必要はなく
PS5などの高スペックハード”専用”のソフトも全然発売して良いのですが、
一部のコアユーザーが言うような、
「縦マルチ(PS4版との同時発売)をやめろ!」だとか「スイッチ版を出すな」みたいな
ことを全てのソフトでやってしまうと、
やはり、ゲーム業界は衰退します。

5万~6万のハードを買う人は”限られて”います。
2023年6月時点でもPS5・PS4・スイッチ版が同時発売されれば、
スイッチ版が一番(本数的には)売れることが多いですし、
PS4版もまだそれなりに売れています。

しかし、コアユーザーの言う通りPS5版だけにすれば、
ユーザーの一部はPS5を買う選択をしますが、
ライト層は「じゃあいいや」となる人もかなりの数、存在しています。

コア層以外は、”そう簡単に数万のハードを買い替えない”ので、
一定期間、縦マルチをすることは”必須”ですし、
それをしないと、結局、ゲームを手にするユーザー数は減るわけです。

スイッチ版に関してもそうで、
ライト層は特に”スイッチしか持っていない”人も多いため、
自社のゲームをより多くの人に遊んでもらうためには、
スイッチの存在も不可欠なわけです。

”クオリティ重視”のゲームはともかく
そうでないゲームはPS5など、高クオリティのハードに”限定”してしまうのは
ゲーム業界の衰退を招く行為であり、縦マルチやその世代のスペックの低いハードへの
展開も、ゲーム人口の維持のためには必要なのです。

全ユーザーがクオリティを求めているわけではない

コアゲーマーの”一部”は「クオリティを求めて当然!」みたいに
決めつけてしまっている人もいますが、
ゲームに求めるものは人により異なります。

当然、クオリティ重視の人もいるでしょうし、
グラフィックはほどほどに、内容重視の人もいれば
”安く買えること”が大事な人もいると思いますし、
家族でワイワイ楽しめるゲームを求める人もいるでしょう。

ですので、色々な選択肢が必要になりますし、
クオリティを高くしなければいけないんだ!みたいな考えは
結果的にゲーム業界の衰退を招きます。

5万~6万の高クオリティハードだけになってしまったら
どうなるか?

子供は買えないでしょうし、
ファミリー層も「そこまでのお金は…」となる家族も増えるでしょうし、
あまり普段ゲームをやらない層も「その値段ならいいや」と
なる人も出て来るでしょう。

ゲーム人口が衰退すれば”未来のコアゲーマー”も生まれなくなり、
最終的にコア層向けのハードにも売上減という形で
ダメージが襲い掛かってきます。

”スイッチやPS4があるからゲームの進化を妨げている!”みたいな
過激な人も一部、実際にいますが、
それは間違いであり、
”何でもコア層のことばかり考えていたら、それこそ進化どころか衰退してしまう”のです。

PS5やXBOXSeriesXのようなハードも必要ですし、
スイッチのようなライトユーザーにもアピールできるハードも必要ですし、
XBOXSeriesSのようなスペックを一部落として低価格で展開するハードも、
ゆっくりと移行する人のためのPS4も、みんな必要なのです。

”早くPS4を切り捨てろ”のようなユーザーこそ、
ゲーム業界の足を引っ張りかねないので、
冷静に全体を見渡す、と言うことが大切です。

まとめ

コア層もライト層もいてこそのゲーム業界で、
ライトユーザーにもアピールできるハードというものは
ゲームの人口拡大のためにも絶対に必要です。

スペック、スペック言う人も多いですが、
例えば任天堂ハードまでハイスペック路線になり、
5万6万の世界になってしまったら
本当に、ゲーム業界は衰退していくので、
スペックの低いハードも、しっかりとした役割・需要があるのです。

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