PS3がスタートダッシュに失敗したのは何故?巻き返しが出来た理由は?

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2006年に発売された
”プレイステーション3”は、発売当初、
スタートダッシュに失敗してしまい、
それまで、国内の据置ゲーム機で
プレイステーション1、プレイステーション2と、
連続してトップを走って来たプレイステーションが、
その座を競合の「Wii」に明け渡すことになりました。

では、どうしてPS3は当初、PS1、PS2が築き上げて来た
勢いに乗ることができなかったのか。
この点を、ゲーム販売店での勤務経験なども元に
解説していきます。

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当初は伸び悩んだPS3

まず、最終的な話をすれば、
Wiiを抜くことはできませんでしたが
PS3も中盤以降、巻き返しに成功し、
Wiiの週間売上台数を上回るようなことも
終盤は多くなっていました。

結局、序盤の苦戦が響き、Wiiの台数を抜くことは
できませんでしたが、
それでも十分に”最終的には成功と言えるハード”には
なれた、というのが現実です。

しかしながら、序盤はかなり苦戦していたのも事実で、
PS1、PS2と続いたトップシェアの座から転落してしまうことに
なったのもまた事実です。

どうしてそのようなことになってしまったのか、
その点を、見ていきましょう。

価格が高すぎた

まず、プレイステーション3の発売当初の定価は
60GBモデルが59980円(実際はオープン価格ですが、一般的にこの価格前後で
多く販売されていました)、
20GBモデルが49980円となっていました。

しかし、この価格はゲーム機としては”非常に高額”であるのも事実で、
例えば当時の任天堂の競合機「Wii」は25000円でした。
つまり、安いモデルでもWiiがほぼ2台、購入できてしまう価格だったわけですね。

流石にこの価格だとライトユーザー層に手にとって貰うのは厳しく、
実際に、Wiiに売上は逆転される結果となりました。

その後、値下げが繰り返されて、薄型モデルが発売されたあたりから
ようやく、普及も本格的に進むようになりましたし、
やはり、価格は大きなネックの一つと言えるでしょう。

実際にゲーム販売店に勤務している際にも
そういった(定価が高すぎる)という声も聞いたことがありますし、
過去の歴史上”高額ハードがトップに立ったこと”は、
国内ではほとんどなく、価格が高すぎたことが
スタートダッシュの失敗に一番大きく響いた点であるかと思います。

ボーダーラインとして”5万円”前後を上回ると、
かなり普及に響く印象を受けます。

その後、後継機のPS4では、この反省を踏まえた価格設定にも見えましたが
PS5では再び高額路線となってしまい、
PS3と同じようにスタートダッシュに失敗しているようにも見えます。
(PS5の方は、供給不足が最大の原因ですが、供給回復後も
思うほど売上が伸びず、FF16の発売時もハードの牽引効果が薄かったことから
やはり国内では”価格”はかなり足を引っ張る要素になると考えられます)

もちろん、これだけではありませんが、
PS3のスタートダッシュの最大の失敗は”5万前後”という価格設定が
一番大きく響いた部分であると思います。

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供給不足も起きていた

PS5ほど酷くはありませんでしたが、
PS3も、発売当初一時的に品薄になっていました。

安いモデルでも約5万円、という高額な価格設定だと、
その価格でも買ってくれるコアユーザーを中心に
伸ばしていくしかないのですが、
その機会をも、失ってしまった…というのも、
一つの要因です。

実際、当時”PS2で満足してしまうユーザー”が
それなりに多くいました。
”手に入らないならいいや”ということになってしまった人も
いるでしょう。

ただ、これは一番の原因ではなく、
あくまでも副次的な原因であると私は考えます。

と、言うのも、当時、競合機として展開されていたWiiも
当初、”品薄”がしばらく続いていました。
が、Wiiの売上はPS3とは違い、伸びていました。
もちろん、生産台数の差はあると思いますが
PS3の品薄は比較的早く解消されましたが
それでもあまり売上は伸びず、価格が下がるまでは
苦戦が続いていました。

そういったことから、やはり最大の原因は
”供給不足”よりも”高すぎる価格”にあったと言えるでしょう。

ソフトラインナップは…?

当初、PS3はPS2ほどの勢いで新作ソフトが出ず、
また”PS2版も出る”ソフトもそれなりに多いのも現実でした。

確かに、ソフトが出なければハードは売れませんし、
高額ハードとなれば尚更
”買ってもらえるだけの理由”が必要になります。

が、ソフトのラインナップもなかなか充実しなかったのは
一つの苦戦要因であるかと思います。

しかし、この点に関して言うと、
ハードが売れていればもっと早くソフトは充実したと思いますし、
実際、ソフトのラインナップを見ていると
”言うほど酷くはない”のです。
結構序盤から、ビッグタイトルは出ていましたからね…。

そのため、やはりここも一番の要因ではなく、
(もちろん原因の一つではあると思いますが)
最大の原因は”価格”にあると分析するのが妥当であるかと思います。

競合機のWiiの勢い

当時の競合機のWiiは、社会現象にもなり、
大ヒットしたハードです。
Wiiリモコンなどの直感的動作や、
唯一HD機の道を進まず、買いやすい価格などを維持したことが
ヒットの要因ですね。

スタートダッシュに失敗したPS3とは対照的で、
前半はかなりこの勢いに押されていた印象です。

競合機に”強い”ハードがあると、それだけ他のハードは
苦戦することになりますから、
(例えば、発売されるソフトも売れてるハードの方がどうしても
多くなりがちですからね)
PS3もWiiの影響を受けたのは確かでしょう。

終盤では、逆にWiiは失速し、PS3は値下げなどで巻き返し
していましたが、最初の勢いで随分差がついてしまったこともあり、
最後まで”追い抜く”ことはできませんでした。

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「PS2」が強すぎた

もう一つ、PS3にとって厳しかったのは
”PS2”が強すぎたことですね。

ゲーム機は”前のハード”が大ヒットしていればいるほど
”移行”は難しく
”前のハードで十分”と思うユーザーが増えやすい傾向にあります。

特に、PS3のように高額だったり”買わない理由”が出来てしまうと、
かなり移行には苦戦します。

PS2の大ヒットぶりに、PS3の高額路線、二つの要素が絡み合い、
余計に移行を遅らせてしまった、と言うのも苦戦の要因の一つだと思います。

”大ヒットハードの次”は、”買わない理由”をユーザーが見つけてしまわないように、
価格面も含めて、細心の注意を払う必要があるのです。

高額になりがちな設計自体がそもそもの要因

PS3は、発売当初、あの価格でも”赤字”と言われていました。

いくらスペックを上げるためとは言え、
ゲーム機は購入してもらわないと始まらないため
”ゲーム機としては”そもそも、そのような高額な価格設定に
しないといけない設計自体が根本的な要因であると思います。

安く売れるような設計にしていれば、高額になることは
なかったわけですからね。

PS5もそうですが、
スペックを上げれば”購入ユーザーの満足度”は上がりますが、
その分価格が上がり、”手に取るユーザー”は、かなり限られることになります。

この点のバランスは、今も昔も難しいところですね。

まとめ

PS3がスタートダッシュに失敗した
一番大きな理由は”価格”にあるかと思います。

その価格になった原因を突き詰めるのであれば、
”スペックを求めるあまり、コストが上がってしまった”
というところになるでしょうか。

高額な価格設定にすると、どうしても
”ゲーム機”としては普及に苦戦することになり
ファミリー層や子供などを引きはがすことになってしまうために
なかなか幅広い世帯に普及しなくなってしまう点が
大きなネックになります。

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