ニンテンドー3DSがスタートに躓きながらも、復活できた理由は?

この記事は約7分で読めます。

任天堂から2011年に発売された
携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」は
スタートに躓き気味の状態になってしまいながらも、
その後に巻き返して結果的には
任天堂のハードの中でもヒットした部類に入る商品となりました。

2017年にニンテンドースイッチが登場するまでは、
主力ハードとして活躍していましたし、
その後も、2018年頃ぐらいまではそれなりにソフトも
発売されていました。

ゲーム機は基本的に”スタートダッシュに失敗すると”巻き返しを
することが難しいのが現実で、
任天堂ハードで言えばN64、ゲームキューブ、WiiUなどが
それに当たりますし、
他社のハードでも、ドリームキャストやXBOXONE、PSPgoなど
スタートに失敗して、そのまま巻き返しが出来なかった
ゲーム機は数多く存在しています。

スタートに失敗気味ながらも、巻き返しに成功したハードは
3DSとPS3など、数少ないケースのみです。

では、どうして3DSは巻き返しをすることが
できたのでしょうか。
この点について解説していきたいと思います。

スポンサーリンク

最初はスローペースでの出発に

ニンテンドー3DSは発売当初は
国内ではそこそこ人気でしたが、
海外を中心に苦戦しており、
日本国内においても、なかなかDSからの乗り換えが進まず
決して順調なスタートとは言えない状態でした。

さらに、発売の翌月には
東日本大震災が発生してしまい、
世間的に自粛ムードが広がるなど、
日本国内においてはタイミングも悪かったのは事実です。

しかしながら、3DSはそのままずるずると失敗してしまうことはなく、
最終的には、成功と言える状況にまで巻き返し、
特に、2012年発売の任天堂の据え置きハード・WiiUが大苦戦していたこともあって
switchが登場する2017年までは任天堂の主力ハードともなっていた商品でした。

では、どうして巻き返すことができたのか
それを見ていきましょう。

素早い値下げの決断

3DSは当時の携帯ゲーム機としては正直なところ”高い”価格設定と
なっており、それが普及を鈍らせていた原因の大きな理由の
一つとなっていました。

しかし、2011年2月に発売した3DSを同年8月には値下げするという
非常に素早い値下げの判断に踏み切り、
25000円⇒15000円と、大幅に値下げを行いました。

3DSの巻き返しが実現した最大の理由はこの
”素早い値下げの判断”が一番の決定打で、
これがなければ3DSの運命が変わっていた可能性も
十分にあります。

ゲーム機本体は、特にコア層以外のユーザーは
価格にも非常にシビアで、
実際に高額のハードは、他の競合機に負けているハードも
多いのです。

また、同じく巻き返しに成功した経験を持つ「PS3」も、
やはり最初は高額で、値下げを繰り返したことによって
徐々に普及、巻き返しに成功したため、
ゲーム機本体のスタートダッシュの失敗からの巻き返しには
”値下げ”が必要不可欠であると言えます。

もちろん値下げをしても手遅れなケースもありましたが、
それでも値下げをすることこそが、巻き返しのための
第1歩になることは揺るぎのない事実です。

スポンサーリンク

補償まで行ったのも、非常に良い判断

ゲーム機本体を発売から約半年で大幅値下げ…ということは、
当然発売日に買ったユーザーからは不平不満が集まるものです。

しかし、当時の任天堂は最初に購入したユーザーに対し、
社長自らがお詫びの文章を発表するとともに、
アンバサダープログラムと称して
ファミコンソフトとゲームボーイアドバンスソフトを
各10本ずつ、無償で配信するという対応を行いました。

これも非常に良い判断で、
”最初に買ったユーザーの不満”をある程度抑え込むことに
成功していますし、企業としての信頼を損なうことを最小限に
防いだ対応であったと思います。

実際、ゲーム機の値下げは何の前触れもなく行われることがほとんどで、
何らかの補填があるケースはまずありませんし、
お詫びのメッセージなどが出ることも極めて異例なので、
こういう対応を素早く取れた、ということは
早期の大幅値下げによるイメージの悪化を
最小限に防ぎつつ、スタートに失敗気味だった3DSの勢いを
一気に加速させたことに成功した
非常に良い対応だったのではないでしょうか。

任天堂自身の有力ソフトを多数投入した

任天堂のハードと言えば”任天堂自身のタイトル”が
非常に重要で、
任天堂の人気タイトルをいかに投入できるかが、
ハードの未来を左右する、と言っても過言ではありません。

しかし、3DSの場合、マリオなどの人気シリーズを
本体の発売直後にはあまり投入することができず、
この面も若干不安定な状況でした。

ただ、これも値下げの後から次第に解消され、
3Dマリオの最新作やマリオカートを相次いで投入するなどして
自社タイトルの発売も強化、
結果的に3DSの普及を後押しする結果となりました。

任天堂ハードを購入する人の多くは
”任天堂タイトル”が目的の一つです。
ですので、任天堂タイトルをいかに早く、投入できるかも
重要な要素の一つとなっているのです。

一方、2012年に発売されたWiiUはこの点で躓き、
ソフトの投入も遅れてしまったことで、
最後までズルズルと、苦しい状況が続いてしまっていました。
(その反省を生かしたのか、ニンテンドースイッチでは
最初から容赦なく人気シリーズをどんどん投入し、
結果的に大成功に結び付いています)

3D機能を良い意味で諦めた

3DSの売りのひとつは、当初は
特殊な周辺機器などを使わなくても3Dを体験できる機能に
なっていましたが
これの評判がイマイチよくなかったのも事実で、
実際に私も当時、ゲーム販売店にいましたが
スタッフの大半はOFFにして遊んでいる状態で、
私自身もOFFにしていましたし、お客さんもOFFにしている人
(話を聞いた人)が、ほとんどでした。

そのためか、早い段階で3D機能をアピールすることは
あまりなくなっていき、純粋にDSの後継機としての
アピールの方が強まっていきました。

これも正解で、いつまでも”あまり受けなかった機能”に
固執せずに、切り替えできたのは
大きな成功だと思います。

終盤には「ニンテンドー2DS」(3D機能を廃止したモデル)まで
発売されるなど、メーカー自体も失敗をある程度受け入れた上で
商品展開を行っていた様子が見て取れます。

スポンサーリンク

前世代のハードが好調だと苦戦する傾向も

任天堂ハードは”前世代のハードが好調であればあるほど”
次のハードで苦戦する傾向が多少見られます。

と、言うのも任天堂ハードはライトユーザーの割合も多いので
”新しい本体が出た!”からと言ってすぐに買い替えるユーザーの
割合は、比較的低いのです。

そのため、前のハードがたくさん普及していればいるほど、
ソフトの種類が豊富であればあるほど”まだいいや”となってしまう
傾向にあり、
それはWii⇒WiiUの時や、SFC⇒N64の時など、
複数回、これまでに事例として見られていることです。

3DSに関しても大ヒットしたDSの後継機ということで
最初は苦戦気味でしたが
大幅値下げにより「DS」とほぼ同じ価格で買えるようにしたのは
やはり大きなポイントであったと言えると思います。

現在、任天堂が展開している”switch”の次も、
switchが大ヒットしているために同じことが起きる可能性があり、
特に”価格設定”に失敗すれば移行が全く進まない可能性もあるので、
価格はできる限り抑えた方が良いのではないかと思います。

まとめ

序盤は若干怪しい感じもあった
ニンテンドー3DSが巻き返しに成功できたのは
やはり、”素早い段階での大幅値下げの決断”に
あるかと思います。

PS3もそうでしたが
スタートで躓いておきながら、後から巻き返すことができたハードは
大抵”値下げ”をしています。

価格設定に関してはそのハードが成功するか失敗するかの鍵を
握っているので、やはり慎重にやらないといけない部分なのは
確かです。

タイトルとURLをコピーしました