ゲーム機は現行機が売れている状態で、次世代機を出すと共倒れのリスクも。

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ゲーム機の”世代交代”は、
ゲーム機を展開するメーカーにとって、
非常に大きなリスクを伴う事柄のひとつです。

現在のゲーム機が成功していても、次世代機がその流れを継承できるとは限らず、
次世代機を投入することで、それまでの良い流れが、
急激に失速してしまうこともあるのです。

例えば”現在展開しているゲーム機”の
勢いが既に落ちてきている段階だったり、
現在展開しているゲーム機が、元々売上不振だったりする場合に関しては
次世代機の投入も当然、早めに検討した方が良いところですが、
”今のゲーム機がまだ好調の段階”で、次世代機を投入することは、
最悪の場合、”共倒れ”する可能性もあるのです。

そのリスクについて解説していきます。

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次世代機投入は、リスクを伴う

ゲーム機の「次世代機投入」は、リスクを伴う行為です。

WiiU⇒ニンテンドースイッチだったり、
ゲームキューブ⇒Wiiだったり、
過去には”好調とは言えない状態だったゲーム機”の次世代機が
大成功を収めた事例がある一方で、
Wii⇒WiiU、
スーパーファミコン⇒NINTENDO64、
プレイステーション2⇒プレイステーション3、
プレイステーション4⇒プレイステーション5など、
次世代機の投入・移行で失敗したケースもそれなりに多いのです。

↑の4機種はどれも売上好調のハードでしたが、
次世代機は、軒並み厳しい状況に追いやられてしまったハードたちで
”前のハードの良い流れ”を継承できなかったハードたちです。
(PS3は終盤、値下げなどで巻き返しましたが前半はかなり苦戦していました)

ですので、次世代機投入は上手く行くこともあれば、
転落を招くこともある、非常に大きなリスクのある行為なのです。

そういった行為であるが故に”現行機が好調なうちに次世代機を出す”ということは
さらに大きなリスクを伴うことになります。

現行機の勢いを削いでしまう

↑で移行が上手く行かなかった例として、Wii⇒WiiUを挙げましたが
このパターンの場合、Wiiは既に後半は失速気味で
勢いが衰えていたために、
これは、結果的に移行は上手く行きませんでしたが、
それでも、次世代機投入はやむを得ないタイミングでした。

しかし、Wiiとは違い”まだ売れているような現行機”に
次世代機を出すと、
どうしても、”今まで好調だった現行機”の勢いを落とすことに
なってしまいます。

当然、”新しいゲーム機が出る”と発表されれば
現行機の売上は落ちますし、
ソフトの発売も鈍るために、さらに売上は落ちることになります。

実際、次世代機が発表・発売された時点で
まだそれなりに売上を維持していた
プレイステーション2、プレイステーション4、ニンテンドーDSなどのハードは
軒並み、次世代機発表・発売後は売上を落としています。
(DSの場合は次世代機の3DSの方も成功したので、共倒れにはなりませんでしたが)

このように、現行世代機が”まだそれなりに売れている段階”
あるいは、現行機がまだ好調な段階で次世代機を発表・発売することは、
現行機の売上ペースを落とし、水を差す結果になってしまうということが
一つ、言えるのです。

勿論、既に売上が落ちに落ち切っているような場合に関しては、
次世代機を発表・発売しても大して影響はありませんが、
まだ現行世代機が売れている状態で次世代機を発表すると、
現行世代機の売上に大きく水を差してしまう、ということですね。

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次世代機が成功すればいいものの…?

もちろん、現行機が好調なうちに次世代機を発表・発売したとしても、
次世代機も上手く行けば、それはそれで問題はありません。
むしろ、”現行機がペースを落とし、売上が鈍る期間”がないまま
次のゲーム機に移行することができれば、
”売上が鈍っている期間”がなくなるわけですから、
メーカーにとっては”上手く行けば”良いことです。

ペースが鈍ってから次世代機の発売となれば、
”現行機のペースが鈍ってから次世代機が発売されるまで”の期間は
多少、全体的な売上に影響も出ることになりますので、
次世代機への移行が上手く行くのであれば、
好調な現行機のペースが落ち始めた段階で、比較的早く次世代機を
発売できることが理想ではあります。

しかし、最初に書いた通りに次世代機の投入は
非常に難しいタイミングであるのも事実で、
どんなに絶好調だったハードの次世代機であっても
それが必ず成功する保証などなく、
任天堂ハードを例にすれば、
一時期大ブームを引き起こし、久しぶりにトップシェアに返り咲いたWiiの
後継機であるWiiUは真逆のような展開になってしまい、
任天堂の据え置きハードの中でも過去最低の売上(スイッチまでの時点で)を
記録してしまう結果に終わりました。

プレイステーションに関してもそうで、
PS2は、PS1・PS2とトップシェアを維持していたハードで、
PS3発売時点でもまだそれなりの売上のあるハードでしたが、
PS3で一気に転んでしまい、トップの座もWiiに明け渡す結果となりました。
PS3は終盤で巻き返しをすることはできましたが、
前半は本当に苦しい状況が続きました。

このように、ゲーム機の移行は場合によっては”転落”を
招くこともあるのが事実なので、
まだ現行機が好調なうちに次世代機を出し、
その次世代機が失敗してしまうと、
今まで好調だった現行機の売上に水を差し、
その上、次世代機も売れない、という
最悪の状況(共倒れ)になってしまうのです。

共倒れになると非常に厳しい

現行機が好調の場合、あるいは”まだ”それなりに好調の場合、
”そのまま”次世代機を出さず現行機中心の展開をしていれば
”十分に売上を確保できる”状態です。

しかし、次世代機を発売してしまい、それが失敗してしまうと、
次世代機発売により衰えた現行機の売上+微妙な次世代機の売上を足しても、
”次世代機を出す前の現行機”の売上を下回る結果になってしまうこともあり、
結果的にソフトも売れずに、悪循環を引き起こしてしまいます。

しかし、次世代機が失敗したからと言って、現行機メインに戻すことは
難しく、それをしてしまうと以降の次世代機への信頼を失いますし、
余計に次世代機が売れなくなります。

”一度発売してしまうと後戻りをすることはできない”ので
現行機が好調なうちに次世代機を出すことは非常に大きなリスクとなるのです。

ソフトの売上に影響

現行機が好調なうちに次世代機を出し、それが失敗すると
ソフトの売上にも影響が出る可能性があります。

例えば、次世代機を出さず現行世代機にそのまま新作を出した場合、
20万本売れたはずの作品が、
現行機+失敗した次世代機という組み合わせになってしまい、
その2機種に同時発売した場合でも、
現行機版7万+次世代機版5万、みたいな売上になり、
ソフトの売上も結果的に落ちる可能性があります。

この理由としては”次世代機が出ていると買い控えをする人もいる”ためで、
例えば、”古い機種版は買いたくないから次世代機版を買いたい”と、
買うのを控えてしまう人が出てしまうのです。

そして、次世代機が微妙な場合、「買うほどではないかな」となってしまい、
でも「次世代機版もあるソフトで現行機版のものを買いたくない」と、
いう人もいるために、結局”どっちも買わない”になってしまう人が
いるわけですね。

もちろん、次世代機限定で新作を出した場合、
次世代機が微妙だとそれは売れず、
現行機にも新作が出ないために、現行機もますます衰退し…という
悪循環を生むことも、起きてしまいます。

まとめ

次世代機の発売には非常に大きなリスクを
伴ないます。

そのため、現行機が好調なうちに次世代機を投入することは
あまり望ましいことではありません。

基本的に現在展開しているゲーム機が
好調である状態であれば、次世代機の投入は
ある程度遅らせても良いのではないかと思います。

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